
腎臓内科
腎臓内科
腎臓内科は、血尿・タンパク尿、浮腫(むくみ)、高血圧などが続いていたり、腎機能に異常があったりする方の腎臓を診る診療科です。軽度の尿検査異常から、腎炎、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、腎硬化症、急性・慢性腎不全、膠原病などに伴う腎障害、腎性貧血などを扱います。電解質異常(カリウムやカルシウム異常など)、二次性高血圧、透析患者様の種々の合併症なども治療対象です。慢性に経過する腎臓病を慢性腎臓病(CKD)といいますが、その原因には様々なものがあります。なかでも生活習慣病(糖尿病、高血圧など)や慢性腎炎は代表的で、近年、CKDは誰もがかかる可能性のある新たな国民病といわれています。腎臓病は目立った自覚症状がないことが多く、明らかな症状が出現したときには透析をせざるを得ない状態になっていたり、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞などの生命を脅かす疾患にもかかりやすくなったりします。早期発見がとても重要です。尿検査や尿の見た目の異常、むくみや高血圧が長く続くなどの症状があれば、放置せずに受診いただくことをお勧めします。
日常的に起こりやすい症状でも、詳細な検査を行うことで重大な病気の早期発見につながることもよくあります。上記のような症状があれば、放置せずにお気軽にご相談ください。
慢性腎臓病(CKD)とは、時間をかけて腎臓の働きが悪くなっていく腎臓病の総称で、主なCKDには糖尿病性腎症、腎硬化症、IgA腎症などがあります。
初期には自覚症状がありませんが、進行すると、夜間尿、貧血、倦怠感、むくみ(浮腫)、息切れなどの症状が出現します。これらの症状が自覚できるときには、進行しているケースが多いとされています。腎臓病は一定以上腎機能が悪くなると機能の回復が難しく、そして次第に病状が悪化していくと、最終的には人工透析が必要になってしまいます。しかし、早期に軽度のうちに発見して治療を開始すれば、完治が期待できる病気です。健康診断でタンパク尿・血尿などの検尿異常や腎障害を指摘されたら、迷わず受診してください。
腎臓の糸球体の炎症によって、タンパク尿や血尿が長期間(1年以上)持続する病気を慢性糸球体腎炎と呼びます。最も多い原因はIgA腎症です。腎臓の糸球体に異常な免疫タンパク(糖鎖異常IgA)が溜まることで、糸球体に炎症が起こり、血尿やタンパク尿が出現し、徐々に腎臓機能が低下してきます。早期発見と継続的なフォローアップが非常に重要な疾患です。
糖尿病の三大細小血管合併症といわれる糖尿病腎症は、糖尿病の発症から10~20年程度かかるとされています。早期の第1期・第2期では自覚症状が乏しいため、尿検査で診断します。第3期では、むくみ、息切れ、食欲不振、満腹感などの自覚症状があり、第4期・第5期では、顔色が悪い、疲れやすい、嘔吐、筋肉の強直、つりやすい、手のしびれや痛み・腹痛と発熱といった自覚症状が現われることがあります。第2期の段階までに発見することが重要とされています。
腎臓には体内に摂取された食塩と水分の排出量を調節し、血圧を正常範囲内に維持する機能があります。腎臓に障害があると、この機能が適切に働かなくなるため、高血圧になりやすくなります。逆に高血圧があると腎臓に負担をかけ、腎障害を促進し腎臓と血圧との間で悪循環が形成されます。このように高血圧と腎臓には密接な関係があるため、腎臓病の治療では腎臓を保護しながら適切に血圧コントロールを行うことが重要とされています。
腎臓は赤血球を作る働きを促進するエリスロポエチンというホルモンを分泌していますが、腎臓の機能が低下するとこのホルモンが減少し、赤血球を作る能力が低下して貧血になります。この貧血を腎性貧血といいます。貧血には鉄不足で起こる鉄欠乏性貧血がありますが、この腎性貧血とは原因が違うため、治療方法が異なります。
尿にタンパクが大量に流れ出てしまい、血液中のタンパク質濃度が低下し、全身にむくみを生じる腎臓病の総称です。低タンパク血症や高コレステロール血症などを生じることもあります。原因不明なものから糖尿病などの代謝異常や膠原病、感染症、血液疾患、悪性腫瘍まで、多くの疾患との関連性が指摘されています。
症状は、むくみ程度のこともありますが、病態としては非常に重篤であり、腎機能障害や易感染性、血栓・塞栓症、血液凝固機能異常などのリスクが高まると考えられています。
腎不全には急激に腎機能が低下する急性腎不全と、数か月から数十年かけて腎臓の働きがゆっくり悪くなる慢性腎不全があります。急性腎不全は腎機能を悪化させる原因を取り除くことができれば、回復する可能性があります。症状としては、尿の出が悪くなったり、全く出なくなったりします。一方、慢性腎不全は、腎臓病の進行に伴い腎機能が徐々に失われた病態で、失われた腎機能が回復する見込みはほとんどありません。腎機能の低下の程度が軽いうちは症状はありませんが、かなり進むと、尿量の増加、目のまわりや足のむくみ、疲れやすい、息切れ、食欲不振、皮膚のかゆみなどの症状が出てきます。さらに、腎不全が進んで尿毒症という状態になると、だるさ、吐き気、頭痛などのほか、呼吸困難感や出血症状など様々な症状が出てくることもあります。
遺伝的因子が深くかかわる疾患で、のう胞(液体が溜まった袋)が両側の腎臓に多発します。それらが大きくなる過程で、腎臓の正常組織が影響を受け、腎不全にまで至ることもあります。健診などで偶然発見されることも少なくありません。心臓弁膜症や脳動脈瘤などの合併リスクが高いことが知られており、適切な診断と早期の治療が求められます。
尿路に起こる細菌感染症の一つです。腎臓内にある尿のたまる部位を腎盂(じんう)といいますが、そこに膀胱から大腸菌などの細菌が逆流することで感染を起こします。急な発熱、悪寒、吐き気、脇腹や腰の痛みなどの症状が出ます。抗生物質や抗菌薬で治療し、3〜5日ほどで熱は下がりますが、治療が遅れると入院が必要なこともあるので早期の治療が大切です。
腎臓から尿道につながる尿路にできる結石は、生じる部位によって腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石に分けられます。結石が腎臓内にあるうちは、特に症状はありませんが、尿管に落ちてくると突然、わき腹や下腹部、腰の後ろ側などに刺し込むような激痛が起こり、発熱や吐き気、嘔吐を伴うこともあります。また、腎臓の機能が低下したり、炎症を起こしたりする場合もあります 。4ミリ以下の小さい結石であれば、薬剤を使い自然に体外に結石が出る排石を待つ保存療法が基本になります。10ミリ以上の大きな結石や、自然排石が難しいと考えられる場合には、体外衝撃波結石破砕手術(ESWL)やレーザー砕石器などを用いた内視鏡手術が行われます。
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